黒曜の間より。言葉と映像がひとつに溶ける、没入の一篇。
岩や草やナイフの散らばる道を越え、後ろ姿の子供が頂の龍の玉を見上げる。欲しくないからこそ奪いにいく、下剋上の一篇。
夕日の見える丘で、咲く言葉も美しくて、でも薄ぼんやりとした空。雨が降るのか、月は出るのか——行き場のない言葉に寄せた一篇。
貴方だから足を向けた。脳裏に焼きつく言葉に心底惚れて、その背中を見上げていたい——深紅の薔薇に寄せた一篇。
大きな体で、頭上に約束した獲物を載せ、金の卵を落とさぬよう泳ぎゆく。種をまた蒔く日を遠方から待つ——深い海の大鯨を描いた一篇。
オセロの白黒が一気に裏返るように、すべてが新しい法則となり目の前が漆黒へ。私の夜が来た——盤面の反転を描いた一篇。
暑い夏、道端に蔓延る蔦の葉の中に、私は隠れていた。気づかれぬまま壁に描かれていた——蔦に紛れる存在を描いた一篇。
あなたを思えば一秒で笑顔になる。どんな寒さも、すべてを黒から白へ——ずっと消えない、ずっと熱い炉の灯を描いた一篇。
天使が寄り合い、小鳥のような囀りで分け合う。説明はいらない、すべては歌で賄える——橄欖の楽園を描いた一篇。
飛んできて、貴方のそばに舞い降りた。誰の僕でもない貴方が、舞う姿を見上げて明るい未来を見た——みだれ髪に寄せた一篇。