黒曜の間より。言葉と映像がひとつに溶ける、没入の一篇。
あの時へ二人でタイムスリップする。時は止まり、年輪さえ忘れるほどに——向かい合う二人を絵巻に綴じた一篇。
みんなと同じ方向は見ない。街を離れ、右へ右へ——その先にエデンがあると信じて進む一篇。
指に跳ね返る一本の弦。もう同じ音色は奏でられない。貴方を送る弔詞のように、切れた弦が揺れる——静かな夜に寄せた一篇。
時が止まるように泣いていた。でも貴方はこの土地に居る。少しずつ、この土の上に私が立っていられるように——泣かないように。暁の大地に寄せた一篇。
珍しい話に驚くうち、その先を貴方は語らない。託すようなその目で——そっか、次は私なのね。空の器に注がれる一篇。
岩や草やナイフの散らばる道を越え、後ろ姿の子供が頂の龍の玉を見上げる。欲しくないからこそ奪いにいく、下剋上の一篇。
夕日の見える丘で、咲く言葉も美しくて、でも薄ぼんやりとした空。雨が降るのか、月は出るのか——行き場のない言葉に寄せた一篇。
貴方だから足を向けた。脳裏に焼きつく言葉に心底惚れて、その背中を見上げていたい——深紅の薔薇に寄せた一篇。
大きな体で、頭上に約束した獲物を載せ、金の卵を落とさぬよう泳ぎゆく。種をまた蒔く日を遠方から待つ——深い海の大鯨を描いた一篇。